本当にやりますか・・?介護を見据えたリフォームはアリ!?

 

 

 

 

少子高齢化が叫ばれる近年、住まいのバリアフリー化や介護に適したリフォームの需要も高まってきております。

しかしながら、一体どこから手を付ければよいのか、迷われている方も多いのではないでしょうか?

手すりの設置や水廻りの交換など、絶対に行うべきリフォーム箇所は多々ありますが今回はそんな中でも介護等の場面に直面する前に”あらかじめリフォームしておきたい所”に焦点を当てていきたいと思います。

 

目次

・なぜ”介護を見据えたフォーム”が必要なのか?

・そもそもいつリフォームすればよいのか!?

・ちょっと待って!デメリットがあることを理解しましょう!

・具体的なリフォーム箇所をご紹介

・保険金や給付金を活用する

・まとめ

 

 

 

なぜ”介護を見据えたフォーム”が必要なのか?

手すりの設置、水廻り交換等は、いざ介護という場面に直面したタイミングでも施工することはできますが、段差の解消や間取りの改善などは大規模なリフォームになるため、被介護者が在宅している状況では施工が難しくなってしまうためです。

 

 

そもそもいつリフォームすればよいのか!?

結論から言うと、可能な限り早く始める方が良いでしょう。

病気などはいつ来るか読めないのと同時に、体の老いによる機能低下の場合は徐々に進行するため、気が付いた時にはもう生活が成り立たない、という場合も考えられます。

よって、ちょっとでも健康なうちに大規模な間取りリフォームは済ませておくことをお勧めします。

 

 

 

 

ちょっと待って!デメリットがあることを理解しましょう!

介護のためのリフォームも良い面ばかりではなく実はデメリットも存在します。しっかり理解した上でリフォームするかを判断しましょう。

 

 

 

予想に反して健康体であった場合、あるいは際立って深刻な状態であった場合は無駄なリフォームになる可能性がある

予想に反して身体が健康であった場合、喜ばしい話ではありますが、無駄なリフォームになる可能性もございます。逆に深刻な状態で入院がメインとなってしまった場合も同様です。

 

 

 

かなり高額な工事となる

例えば玄関の段差を解消しようとすると、道路からのアプローチ、玄関扉、上り框と複数個所のリフォームをする必要が出るため、100万前後の費用が掛かる場合もございます。

間取りの改修は問題の箇所に合わせて関連する箇所も改修が必要になるケースが多く高額になりがちです。

 

 

デザイン性が落ちる

プランニングによっては改善できる場合もございますが、往々にしてデザイン性は落ちることがほとんどです。これはお年寄りが認識がしやすいよう目立つ色にする必要性やバリアフリーで推奨されている素材や形状、色などがあることが主な原因になります。

安全性、利便性を優先し、ある程度はデザイン性を犠牲にする覚悟が必要になると言えるでしょう。

 

 

 

 

健常者にとっては使いづらい面も出てくる

手摺があれば廊下幅は狭くなり、車いすに適した洗面台にすれば立った状態では使いづらくなったりと、健常者にとっては我慢しなければいけない点も発生します。

 

 

 

段差が無い=ホコリなどを食い止める機能は弱くなる

昔ながらの家に段差があったのはホコリを食い止めたり、小動物の侵入を防いだり、冷気を防いだりなどの恩恵があったのも事実です。

現代の住宅で段差を無くすことはホコリや汚れを食い止める機能が弱くなるという点も理解する必要があります。

 

 

 

将来の売却の場合、販売対象者の層が狭くなる

売りやすい家とは、一般大衆に受け入れやすい家でもあります。バリアフリーに特化した家は必然的に購入者の層が絞られることにもなります。

 

具体的なリフォーム箇所をご紹介

出来る限り早めのリフォームをお勧めする点は既に記載しましたが、具体的にはどこをリフォームするべきなのか?重要な物を挙げていきます。

 

 

 

生活動線全体を短くする

被介護者の生活動線は極力短いことが求められます。移動の負担軽減に加えて転倒事故などのリスクを減らす目的もあります。

二階建ての住宅の場合は被介護者の生活スペースと水廻りを一階にまとめることが理想とされています。加えてそれらの位置関係も極力近くできれば最良と言えるでしょう。

位置関係を近づけることが難しい場合は壁を壊し、ショートカットできる扉を設けるなどの解決策もございます。

 

 

 

出入りしやすい玄関にする

玄関において、屋外用車いすと室内用車いすの乗り換えを考慮する場合は下図の程度の広さを確保する必要があります。

また靴脱ぎ場と廊下の段差(框(かまち)と言います)をほぼゼロにしたい所です。

自力での歩行が可能な場合は写真のような中間の段差を設けることも有効です。

敷地に余裕がある場合は、道路から玄関までのアプローチに室内床の高さに達するまでのスロープを設け、玄関の段差を無くしてしまう方法もあります。

確保したい玄関のサイズ

置き型のステップ

 

 

 

出入りしやすい建具にする

近年の建具は片開き戸が主流です。しかし車いす、杖を付いての歩行では開けた扉を避ける動作が難しく相性が良いとは言えません。できる限り引き戸に変更しましょう。

玄関扉では防犯性防火性に優れた片引き戸タイプがございます。(他の間取りとの位置関係で引き戸への変更が難しい場合もございます)

 

 

 

手すりに関しては急がずに(下地は早めに)

バリアフリーで最もオーソドックスなアイテムが”手すり”です。しかし手すりに関して設置を急ぐ必要はないと考えます。介護の程度によって必要な箇所が大きく変わることと、健常者にとっては障害物になるケースもあるため慎重な設置が求められるためです。

しかしながら手すりを設置できる条件として、ネジでしっかり固定できる壁や床があるかが重要になります。後から自由に、どこにでも取付けが出来るわけではありません。

特に壁は通常、石膏ボードという粉を固めたボードでできているためネジが効きません。

そこで手すりを取り付ける可能性がある箇所全てに、前もって壁の中にネジが効く下地(べニア板等)を入れておくようにしましょう。

※システムバスへの手摺の取付は後から行うことが不可の場合が多いため、システムバス交換の際に取り付けるようにしましょう

 

 

 

 

トイレ、洗面脱衣室等の広さ

例えばトイレの場合、車いす対応とするためには最低でも図の程度の広さが必要になります。これも後から工事して確保することは難しいため、前もって行いたいリフォームになります。

 

 

 

各所の段差を解消する

玄関の段差は既に記述の通りですが、各お部屋の出入り口など、建具の敷居が段差になっている場合はフラットにしておきたいところです。

しかし敷居周辺の床を剥がし、同時に建具本体も作り直しになるパターンも多いため、あらかじめ施工しておきたいところです。

画像のような小さい段差に適したオーダータイプのスロープもございます。これらを活用することで、介護状態になってからでも対応が可能な場合もあります。かつ費用の圧縮にもつながります。

 

 

 

滑りづらい床材へ

転倒事故への対策として手すりと並んで重要なのが、床の仕上げです。階段や玄関のいわゆる”鼻先”には画像のようなすべり止めテープを貼ることで簡単に対策を取ることが出来ます。

移動動線となる廊下や生活室、水廻りの床は敷物を敷くことで滑り対策を取ることも可能ですが、安全性を考慮するとり滑りづらい床材にリフォームしておくことをお勧めいたします。滑りづらい素材としてはコルク床、カーペット、クッションフロア、フロアタイルなどがあげられます。

階段用滑り止め

コルクフローリングは転倒時の衝撃も吸収します

 

 

 

急な階段を緩やかに

やむを得ず被介護者が2階以上で生活する場合、建物の構造上問題が無い場合は緩やかな階段にかけ替えることが出来ます。

難易度が高いリフォームになりますが、条件さえそろえば不可能ではありません。古い家は極端に階段が急な家も多いため、お勧めしたいリフォームです。

 

 

 

コンセントの高さ

小さな部分で見落とされがちな部分でありながら、重要な箇所です。通常コンセントは床から30~40㎝ですが、車いす使用者の場合は90~120㎝が使いやすい高さとなります。

コンセントの高さ変更は壁の補修などが発生する場合もあり意外と大掛かりになるケースがあるため、前もっての工事をお勧めします。

 

 

明確な色分け

視力の低下や夜間歩行の際の事故防止のため、床の段差や部屋の切り替わる箇所などは仕上げ材の色を変えるなどして明確に認識できるようにします。

手摺やスイッチの位置などの明示はシールなどで後からでもできますが、床や壁など大きな面積を色分けして明示する場合は前もっての工事が必要になります。

玄関のタイル色を変え、段差であることをわかりやすくした例

 

 

 

メーターモジュールの採用

新築住宅、もしくはスケルトンリフォームなどの大規模な改修の場合はメーターモジュールの採用をお勧めします。

日本の家は尺貫法という寸法概念で建っています。これは1尺(30.3㎝)を基本単位としており、その倍数で柱の間隔を決めて行く物です。部屋の大きさや、廊下、階段の幅は、この1尺の倍数で大きさが決められます、例えば廊下の幅は3尺が通常です。センチに直すと91㎝。壁の厚みなどを差し引くと実際の有効幅は75㎝程度となります。しかしこれは車いすでの行き来や付き添っての歩行には十分は幅とは言えないのです。

そこで尺貫法ではなくメーターモジュールという寸法概念で間取りを計画すると、廊下の柱の間隔は100㎝、壁の厚みを差し引いた有効は84㎝程度になり、車椅子での移動もスムーズになります。同様に部屋の大きさ、出入り口の幅もメーターモジュールで計画すると尺貫法よりも余裕のある大きさとなるため介護には非常に優れた住宅になります。

 

 

介護者、被介護者の生活エリアの切り離し

これは被介護者だけでなく、一緒に住まう同居者への配慮にもつながります。被介護者が主となる間取りでは同居者の快適性やプライバシーがないがしろになる傾向がございます。狭くとも同居者のプライベート空間をしっかり確保できる間取りにすることは精神衛生上有効であり、介護者、被介護者の人間関係的な面でも有効とされています。

難しい場合は可動式の間仕切りなどを採用し、日中は一つの空間に、夜は空間を区切るなどの方法も有効です。

 

 

保険金や給付金を活用する

さくら色工務店のある東京都八王子市では介護やバリアフリーを見据えたリフォームなどには保険金や給付が交付される有難い制度がございます。

2023年11月現在では4項目(3種類)の制度があり、概略をご紹介します。

 

●介護保険居宅介護(介護予防)住宅改修費の給付制度
  • 対象者:65歳以上で要介護認定を受けた者
  • 対象工事:手すりの設置や段差の解消等
  • 給付額:最大20万円まで
●高齢者自立支援住宅改修給付事業 その1
  • 対象者:65歳以上で要介護認定の非該当の判定を受けた者
  • 対象工事:手すりの設置や段差の解消等
  • 給付額:最大20万円まで
●高齢者自立支援住宅改修給付事業 その2
  • 対象者:65歳以上で要介護認定を受けた者
  • 対象工事:水廻りの取り換え等
  • 給付額:10.6万円 15.6万円 37.9万円 の3種類
●居住環境整備補助金交付事業
  • 対象者:65歳以上
  • 対象工事:手すりの設置や段差の解消等
  • 給付額:工事費の20%以内、かつ20万円まで

 

以上が概略になります。20万円前後の費用を負担してくれるのはかなりお得な制度ですね!

具体的な内容については八王子市役所、もしくはさくら色工務店までお問い合わせください。

 

まとめ

今回は介護を見据えたリフォームについてまとめてみました。

バリアフリーや介護に関するリフォームは配慮するべき事が膨大にあります。今回はほんの一部のご紹介となりましたので、詳しくはさくら色工務店までお問い合わせください。

今現在、介護という場面に直面している方に留まらず、将来両親を介護する可能性がある方などが、来るべき時に備えどのように向き合っていくか参考になりましたら幸いです。

メリット、デメリットをしっかり理解して無駄ないリフォームを目指しましょう!

 

 

 

 

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